OM 3.0 Debut!

第3世代のOMはじめます

OM”Rose”

今日は新しいOM 3.0について書きます。

令和元年最初の月に開催される、サウンドメッセin Osaka 2019とTOKYOハンドクラフトギターフェス2019に出展するための新しいギターを昨年末から研究・製作してきました。先日完成しました上の写真のギターOMC”Sina” ジャーマンスプルース/ハカランダと、OM”Maho” ジャーマンスプルース/インディアンローズウッドの2本を先ずリリースします。

写真を見る限り、今までのOM(もしくはOMC)と何が違うの?という感じです。外見のデザインはほとんど変えていません。でも中身(構造)を大幅に変更いたしました。そもそもなぜOM 3.0と呼ぶのかについて先ずは記します。

僕はこれまでOMサイズのギターしか作っていません(僕のオリジナルサイズでMartinのOMよりは少し大きい)。そして僕の中での位置付けなんですが、OM 1.0が師匠であるErvin Somogyi氏の2012-2014期(弟子の期間)のコピー、OM 2.0がソモギサウンドをベースとしてギターの軽量化と音の指向性を弱めより広がるサウンドの追求でした。アメリカから帰国し工房を立ち上げてから5年が経とうとしていますが、少しずつ構造を変えてきました(特にトップの)。基本の部分ではずっとソモギさんの考え方・作り方を踏襲してきました。

僕はソモギさんという師匠のことも彼の作品も大好きなのですが、ずっと彼のコピーらしきものを作り続けていても良いのだろうか?という疑問がありました。そもそも70歳を越えた巨匠のソモギさんですら未だに毎回作り方を変え、試行錯誤しているのです。そして彼に「弟子をとる理由」を質問した時の回答でも、「ソモギ工法をどうしても受け継いでほしいわけではなく、君らは君らのオリジナリティを追求してほしい」ということを聞いています。

さて、そんなことをいつも頭の中でぼんやりとずっと考えていたんですが、2016年にWoodstockのギターショウに行った時にニューヨークシティにも足を伸ばし、SOHO地区にある老舗楽器店Rudy’sを訪れます。その時に試奏したSanta Cruz Guitar Company製OM Moon spruce/Indian rosewoodの音がビリビリっときたというかとても印象に残り、こんな音のギターを自分が作りたいなと思いました。

そう思いながらも、同時にオーダーも猫の手を借りたいほどいただくようになり、ギターを地道に製作して生活していかないといけない身としては、なかなかソモギさんの作り方から大きく外れて研究してみるという時間はありませんでした。

そんな時、2018年末に転機が訪れます。Twitterを通じて知り合ったワタナベ楽器店副店長の村主さんの紹介で、Jeff Traugott氏のModel Rを2本(どちらもハカランダのサイドバックで一方がジャーマンスプルーストップ、もう一方がアディロンダックスプルーストップ)所有されているぷんさんから、僕の音作りの研究のためにその高価なギターを2本同時に貸していただけるというチャンスです。

ちなみにJeff Traugott氏とは先ほど書きましたSanta Cruz Guitar Company出身のギター製作家で、私の師匠Ervin Somogyi氏と双璧をなす巨匠と言われています。ソモギの低音とトラゴットの高音は特にギターサウンドのそれぞれ最高峰と言われています。

僕はソモギサウンドについては彼の弟子であり作り方を熟知していますが(在籍していた期間の作は特に)、もう一方のトラゴットサウンドについて兼ねてから研究してみたいと思っていました。ぷんさんからのオファーで研究が一気に加速します。やはり実物を手にとって研究できるのは大きいです。

というわけで、今回サウンドメッセとハンドクラフトギターフェスに間に合わせる形となりましたが、ここにOM 3.0をその研究の成果として発表したいと思います。

 

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